コーウェアとカーボンがESLソリューションで強力にコラボレーション〜仮想HWプラットフォームの構築を僅か数週間で実現

2007年10月29日、ESLツール大手のコーウェアとHW仮想検証向けソリューションを手掛ける米Carbon Design Systems社は、製品のOEM契約を含む両社のパートナーシップの強化を発表した。プレスリリース(コーウェア)

発表によると今回の両社のコラボレーションのポイントは大きく2つ。一つは、カーボンの「Carbon Model Studio」とコーウェアの仮想HWプラットフォーム開発環境「Platform Architect」のGUIがある意味「双方向」で繋がったという点で、既存のRTL資産から作成したカーボンモデル(サイクル精度を保持した高速検証用の仮想HWモデル)をコーウェアの環境上で利用できるだけでなく、コーウェアの環境上からカーボンのGUIを呼び出しRTLから仮想HWモデルを作成する事が可能となったほか、そのモデルの内部信号の観測やレジスタのパラメータ設定、ブレークポイントを設定したデバッグなども実現。RTL資産を単なるブラックボックスとして仮想プラットフォームに取り込むのではなく、ソフトウェア開発者も扱う事のできる中身の見える高速な仮想モデルとして扱う事が可能となった。

また、仮想HWモデルの高速化に向けては、コーウェアの環境上で仮想HWモデルを動かしながら必要に応じてレジスタのパラメータを設定したり、カーボン独自の「Replay」、「OnDemand」といったシミュレーションの高速化技術を選択することも可能で、これらのオプションはソフトウェア開発者に対してもデバッグ工数の削減という意味で大きなメリットをもたらす。

もう一つのポイントは、今回の両社のコラボレーションが製品のOEM契約という形で実現されている点で、カーボンがコーウェアの「Platform Architect」向けに用意したカスタム済の「Carbon Model Studio」をコーウェアがOEM販売という形で既存顧客に向けて提供。見方としては、ESL市場で先行するコーウェアがカーボンの技術を採用したという事になるが、複数の仮想検証ソリューションが存在する中で、カーボンとの強い繋がりはコーウェアにとってもアドバンテージとなる。

尚、今回の発表についてコーウェア株式会社のジャン グッドセル社長とカーボン・デザイン・システムズ・ジャパン株式会社の石井 敦社長に聞いたところ、グッドセル氏は、両社のコラボレーションの大きなメリットとして「RTL資産の再利用化」を指摘。カーボンの技術で既存のRTL資産を効率良く再利用する事が可能となり、「僅か2〜3週間で今よりも容易に仮想HWプラットフォームを構築できるようになる」とコメント。石井氏は、「両社の協力によってこれまでRTLをブラックボックスとして扱っていたコ・シミュレーションのデバッグとシミュレーション速度の問題も解消されるだろう」と語っていた。

コーウェア株式会社
カーボン・デザイン・システムズ・ジャパン株式会社
※記事提供:EDA Express

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