シノプシス、全ての設計者に効果的なローパワー設計を〜LPMMは大反響、年内に全てのツールがUPFサポート予定

第44回DACに出展していた、シノプシス社のブースレポート。

シノプシスは、例年通り巨大なブース内に多数のデモスイートを設置するというスタイルで、ESLからインプリメント、検証、DFM/DFY、PCBと一連のソリューションを個別にPR。ブース内のプレゼンスペースでは、「Synopsys Technology Experts Theater」と題された、各分野のエキスパートによる講演が計10種のローテーションで実施されていた。

中でもJanick Bergeron氏によるVMM関連(RTL検証関連)の講演と、LPMMの著者であるARMのRobert Aitken氏及びシノプシスAlan Gibbons氏によるLowPower関連の講演は、立ち見が溢れるほど盛況で、同社の「メソドロジ戦略」に対する設計者の興味と期待が見て取れた。
※VMM:Verification Methodology Manual(VMMは先頃、中国語版も発売されたという)
※LPMM:Low Power Methodology Manual

シノプシスのローパワーソリューションならび話題の「LPMM」について、RTL Synthesis及びLow Power部門のシニア マーケティング ディレクターGal Hasson氏と戦略的アライアンス部門ディレクターのPhil Dworsky氏に聞いたところ、「ローパワーは設計フロー全体で考慮されるべき事である」(Gal Hasson氏)とした上で、シノプシスはEnd to end のソリューションを提供している事を強調。システム設計、RTL検証、テスト容易化設計、論理合成、配置配線、サインオフ検証と全てのツールで既にパワー考慮の設計が可能で、年内にはシノプシス独自のパワーフォーマットからUPFへの移行が完了するとの事。他社ソリューションとの違いについては、「テープアウト実績の多さが何よりも大きな違い」と語り、シノプシスのツールで既に30種近くのマルチボルテージ チップのテープアウトが完了しており、今回のDACでもNXP Semiconductorがシノプシスのローパワーソリューションを用いた設計事例を発表したと聞いた。

DAC直前に発表された「LPMM」については、予想以上の大反響でその中身(ドラフト版)を見たいという設計者が非常に多く、内容を抜粋したPDFファイルを限定的に配布する予定との事。内容的としては、ARM、シノプシス、両社の持つ、実設計から得たローパワー設計ノウハウを体系的にまとめたもので、ARMのリファレンスメソドロジーを構築する過程で培った実践的なテクニックが随所に取り込まれているという話。Phil Dworsky氏に「LPMM」の目指すところについて聞くと、特定のツールや環境に依存しないジェネリックな方法論の提供を目指しているという事で、「LPMMは、全ての設計者に効果的かつ実践的なローパワー設計の方法論を提供するもの」とし、「決してシノプシスの推奨するパワーフォーマットUPFをPRするものではない」と語った。

尚、シノプシスのブース正面には、「LPMM」やARMのリファレンスメソドロジーなど、シノプシスとARMのローパワーソリューションをPRする専用ブースが設けられ、「LPMM」の紹介や最新のARMコアのデモなどが行われていた。

※写真の人物はシノプシスのPhil Dworsky氏。手にしているのは、シノプシスのARMリファレンスメソドロジーで設計されたローパワー化されたARM1176コアのデモボード。ARM1176コアには、MPEGが実装され液晶モニタで動画が表示されていた。

Synopsys社

※記事提供:EDA Express