マグマ、分散処理による高速化がウリのSPICEとDRC

EDSF2007に出展していた、マグマ・デザイン・オートメーション社のブースレポート。

マグマは、「Talus」シリーズ/「Blast」シリーズを中心とした、RTL以下の各種インプリメンテーション・ツールを展示。中でも来場者の注目を集めていたのは、昨年のDACで発表したばかりの回路シミュレータ「FineSim Pro」と、昨年の「EDN Innovation Awards」にノミネートされたDRCツール「Quartz DRC」の2製品。

「FineSim Pro」は、回路分割によって処理を高速化するマルチスレッド方式と違い、ワンマトリクスの従来SPICEモードでの分散処理を業界で初めて実現した回路シミュレータで、高精度を保ちながら高速処理を実現。CPU数に応じて処理時間をリニアに向上する事ができる。

話によると、ユーザはここ最近シミュレーションの精度を重視し、TurboSPICEから従来SPICEへと方向を変えつつあるとの事で、「FineSim Pro」は、既に台湾のFaraday社、UMC社がそれぞれ設計用、ライブラリのキャラクタライズ用に導入。その他にも未公表のユーザが米国に限らず日本国内にも存在しているとの事。今後、「FineSim Pro」をマグマの設計フローにインプリメントする予定で、将来的にはTurboSPICEも分散処理化する計画があるという。

もう一方の「Quartz DRC」は、「In the Loop DRC」というキャッチフレーズの通り、マグマのインプリメンテーションフローの中に統合されたDRCツールとして、フローを通じてマグマのデータベース「volcano」にダイレクトにアクセスし、高精度なDRCを実現する事ができる。

説明によると「Quartz DRC」の最大の特徴は、「何よりもその速さ」という事で、先に挙げた「FineSim Pro」と同じく、分散処理によってCPU数に応じて処置時間を短縮することが可能。そもそも分散処理を前提に開発されたツールであるため、そのパフォーマンスには絶対的な自信があり、社内では100個のCPUを用いた評価事例もあるという話だった。

尚、「Quartz DRC」は当然ながら単品製品としても利用可能で、Tclでコーディング・ルールを記述できる点や、後発となるDRCツールならではの「共同開発の自由度」など、機能面に加えユーザにとっての使い易さや取り入れ易さも好評。2年前の発表以来、順調にユーザー数が増加中で日本顧客の視線も熱くなってきているという。

※記事提供:EDA Express