ミックスドシグナル設計を根本から変える!「Titan」のリリースに意気込むマグマにその勝算を聞く

今年2月にミックスドシグナル設計をターゲットとした新製品「Titan」をリリースしたマグマ。好調と噂される同社直近の業績と合わせて、新製品「Titan」に関する詳細を来日していたMilan G.Lazich氏(Vice President、Corporate Marketing)とSuk Lee氏(General Manager、Custom Design Business Unit)に聞いた。

Milan G.Lazich氏によると、マグマは2008会計年度(2007年3月〜2008年4月)において、EDA市場の成長率を上回る20%以上の売上増を達成し、一株当たりの利益/営業利益ともに前年の倍以上を実現。受注実績は4億2000万ドル以上と日本市場も含めワールドワイドで予想以上の好成績を残しており、業績は「いたって順調」との事。
※関連ニュース:
マグマ売上報告、2008年1〜3月は前年比9.7%増の5500万ドル(約57.5億円)
http://www.eda-express.com/news/?m=p&idno=1459

配置配線にはじまり、合成、レイアウト検証、アナログ/回路シミュレーションとマグマはソリューションを拡大する事でそのマーケットシェアの手堅く拡大しており、今回のミックスドシグナル設計環境「Titan」のリリースによって同社のソリューションはロジック検証以外を全てカバー。その製品群は更に包括的にIC設計の各分野をカバーし、より強力なものになるという。

「何故、今ミックスド・シグナルに力を入れるのか?」という問いに対して、Milan G.Lazich氏は、先端マルチメディア機器に代表される市場のニーズを挙げると同時に、同社の回路シミュレータ「FineSim」の成功についても言及。新製品「Titan」は、急速に採用が進んでいる「FineSim」が組み込まれたソリューションで、そのシミュレーション能力は「競合製品よりも上」。デジタル設計環境とアナログ設計環境が密接に統合された「Titan」は、そのエンジン自体が新しく、古いテクノロジをベースとした旧来のアナログ設計環境よりも「確実に優れている」と断言した。

Suk Lee氏によると新製品「Titan」は、自動化が遅れておりデザインの再利用も低い現状のアナログ/カスタム設計環境を改善するために開発された製品で、プロセスが変わる毎にゼロからやり直していた、手作業による再設計を大幅に改善。デジタル設計環境「Talus」と密接に統合された「Titan」を利用すれば、設計チームはミックスドシグナル設計のTATを数十分の1にまで短縮可能だという。

具体的には、「Titan」には回路シミュレータ「FineSim」、デジタル設計環境「Talus」の他に、先頃買収した米Sabio Labs社のアナログ回路のマイグレーションツールやレイアウト検証ツール「Quartz DRC/LVS」がOpenAccess互換のデータベース上に統合されており、アナログ設計−デジタル設計間の反復作業ならびにアナログ回路のマイグレーション作業を大幅に効率化。「Titan」のGUIからダイレクトに「Talus」を操作可能、42GBのGDS-IIファイルを僅か4分で開く超高速レイアウトエディタを装備、デジタル−アナログのグローバル配線の実現、クロスプロービング・デバッグ機能など、ミックスドシグナル設計を効率化する数々のテクノロジが包括的に統合されている。

実際に「Titan」を用いてアナログIPのプロセス・マイグレーションを行ったところ、従来手法で約3週間要していたバンドギャップ(33コーナー)のデザインを約5分、2ヶ月要していた1.5Ghz/1V PLL(9コーナー)を約1時間で処理することができたという。

尚、Milan G.Lazich氏によると、マグマは「Titan」のカバーするミックスドシグナル設計のマーケットを重要な市場と捉えており、メインのデジタル・インプリメンテーションと合わせて引き続き積極的な投資と研究開発を進めていく予定であるとの事。Milan G.Lazich氏は、配置配線の分野で「Blast Fusion」が成功したように、旧来手法では真似出来ない最新のテクノロジによってミックスドシグナル市場を切り開くのがマグマの戦略であると語っていた。

マグマ・デザイン・オートメーション株式会社
※記事提供:EDA Express