シノプシス、ユーザーズミーティングで仮想開発環境「Innovater」の実績を発表〜TIがOMAPのソフトウェア開発で活用

2007年10月12日、シノプシスは都内で開催したユーザーズミーティング「JSUNG 2007」にて、テクノロジ・アップデートとしてソフトウェアの仮想開発ソリューションの発表を行った。

講演したシノプシスのSystem Level Solutions R&D Manager Sam Tennent氏によると、シノプシスの仮想開発ソリューションは、昨年5月に買収したVertio社の仮想環境「Innovator」を中心とするもので、高速ISSとハードウェアのTLMモデルによって処理速度5〜10MIPSを実現する実機相当のソフトウェア仮想開発環境を提供。この環境を用いる事でソフトウェア開発者は、実機の完成する9〜12ヶ月前からソフトウェアの開発・デバッグに着手する事ができる。

特徴的なのは、「DesignWare System Level Library」として提供されるプロセッサモデルやペリフェラルモデルの他に、ボードレベルのコンポーネントも用意されており、ボード全体を仮想環境上でモデリングする事が可能な点。説明によるとGUI上でシステム全体のシーケンスを確認する事もできるという。また、ツール、ライブラリと合わせて各種モデリングサービスも提供されており、顧客が仮想環境を立ち上げる際には、開発のフェーズに応じて段階的に各種仮想モデルが提供されるという話だった。

尚、「Innovator」を用いた仮想プラットフォームを構築実績は既に50以上あるとの事で、Sam Tennent氏は、TI社のプロセッサ「OMAP1510」の仮想プラットフォームのデモを行った上で仮想プラットフォームを用いた「OMAP2420」ベースのSoC開発事例を紹介。同ケースでは、開発スタート後4週間(シリコン完成の10ヶ月前)にOSの開発に着手し、仮想環境上でSW開発工数の85〜90%相当を完了することに成功。結果としてソフトウェア開発の生産性を2倍に向上できたという。

ちなみにシノプシスは「OMAP1510」からTIとの共同開発をスタートし、開発した仮想プラットフォームを再利用する事で「OMAP2」、「OMAP3」と計3シリーズの派生プラットフォームを完成させているとの事であった。

※下の画像はSam Tennent氏のプレゼン抜粋。

※「Innovator」を含むソフトウェアの仮想開発ソリューションに関する詳細は、日本シノプシス株式会社にお問い合わせ下さい。
日本テキサス・インスツルメンツ
※記事提供:EDA Express

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