2007年6月12日、メンター・グラフィックス社は、配置配線ツールを手掛ける米Sierra Design Automationを9000万ドル(約109.5億円)で買収したことを発表した。

KARMA-EDA2007-06-13

プレスリリース

Sierraは、DFM考慮の自動配置配線ツール「Olympus-SOC」を手掛けるベンチャーで、Magmaの次を狙うレイアウト系EDAベンダとして、そのソリューションが高く評価されていた企業。

既に日本国内の大手6社を含め、世界各国の名だたる大手に多数の導入実績を持つ「Olympus-SOC」は、リソグラフィを考慮した配置配線が可能で、マルチコーナー/マルチモードSI解析機能は、解析エンジンを複数回まわす事無くワンショットで全てのコーナー/モードを解析することができる。

先頃サンディエゴで開催された第44回DACでは、Sierraは「Olympus-SOC」の新機能マルチモード/マルチコーナー対応のクロックツリーシンセシスを発表。ワーストコーナーをベースとした他社アプローチと異なる最適化されたクロックツリーシンセシスによって、PowerおよびAreaの削減効果をアピールしていた。

尚、「Olympus-SOC」には、メンターの「Calibre LFD」と連携して、配線後にリソグラフィ・ホットスポットを修復するという機能もあり、Sierraとメンターの間には以前からパートナーとしての協力関係が存在。今回の買収については、DAC前から大きな買収話の一つとして噂になっていた。

メンターは、Sierraの買収によってこれまで無かった配置配線ソリューションという大きな武器(しかも最先端の技術)を獲得。既存のレイアウト検証ツール群やDFMツールと組み合せた、統合環境の提供を目指すという事で、これまでケイデンスシノプシス、マグマの3社で固められていたレイアウト分野の勢力図を大きく変えることは必至。今後の動きに注目が集まる。

ちなみにDACでは、今回のメンターの買収以外にも、ケイデンスシノプシス、マグマ、それぞれの買収話が噂としてあちらこちら飛び交っていた。

メンター・グラフィックス社
旧Sierra Design Automation社 
※写真はDACでのSierra Design Automation社のブース

※記事提供:EDA Express